描画
こどもの絵とか字というのは大変豪快で、そして美しい。
例えばおれが絵を描く時は、まあ下手くそなんだけど、それは「似せる」とか「特徴的に」ということに重きを置いてしまう。
でも、こどもはというと「絵を描くこと」に精一杯というか、全力で絵を描いていて。
そうかと思えば髪の毛の長さとか、今日はどんな服を着ているとか、今どこを見ているとかそんなことを描く。
そんな風に、描くことを100%楽しんだ絵ってのはなかなか素敵なもんだ。
おれたちはこどもの頃、「頭が良くて、何でもできて、頼りになるということ、それが大人。大人ってすばらしい、大人になりたい」って思っていた。
だけど混んだラーメン屋的に仕方なしに大人という席に座ることになってみると、大人になるというのはこういうことなんだなと思う。
「何も変わってないし、それどころか何が大人なのかよくわからん。大人がすばらしいなんて誰が言ったんだ」
ただ、大切なのは自分がどれだけこどもで、どの辺が大人なのかをきちんと見極めることかなと。
やや酔っぱらいながらもこどもの絵をじっと眺めていると、ふとそんなことを思ってしまったりもする。
そしていま、家族ができていることを自分なりに精一杯喜んでいます。